就職活動

19年卒就活生が語る化学・繊維素材業界

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ごきげんよう、アリトシです。

もう12月なので大学3年生や修士1年生は就職活動が水面下で活発に行われてくる時期なんじゃないかと思います。
私も一年前から就職活動を行いました。売り手市場やインターンシップについて就職活動で感じたことを先日記事にしましたね。

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というわけで、今回は特定の業界について踏み込んでみようと思います。
私が就職活動で選考に参加した主要3業界のひとつ、化学・繊維素材業界についてお話します。
まだ実際に働いていないので実際の職場環境とは異なると思いますが就活生視点での情報をお届けします。

化学・繊維素材業界はBtoBメーカーだから知名度が低い

化学素材メーカーでは信越化学・三菱ケミカル・住友化学・三井化学・旭化成 この辺りが主要企業になります。
繊維素材メーカーでは東レ・帝人・日清紡などが主要メーカーです。
始めて名前を見た企業や名前は知っているけど事業を知らない企業があると思います。

素材メーカーは基本的にBtoB企業であり消費者との接点は少ないため大企業であっても認知度は低い傾向にあります。
サランラップを製作している旭化成は有名ですね。CMを頻繁に出している帝人・日清紡・カネカについては名前を知っている方も多いと思います。
帝人・日清紡・カネカはCMを見ても事業内容は伝わらないですよね。

一方で国内化学メーカー時価総額1位の信越化学や炭素繊維世界シェア1位の東レも広告露出はあまり多くありません。私も就活を始めるまでどちらの企業名も知りませんでした。
業界を調べてみると知らない企業がドンドン出てきました。

化学・繊維素材業界といっても同じ商品を扱ってはいない

化学・繊維素材業界の特徴は業界でくくられながらもそれぞれの商品の用途が重複するとは限らないことです。実はこの業界というくくりは中々おおざっぱなモノなのです。
機械メーカーとくくっても自動車や航空機、半導体製造装置など用途がバラバラなように化学・繊維素材業界も単純な比較は難しいのです。

例えば信越化学はシリコンウエハーで世界シェア1位です。アメリカのシェールガスの登場と工場新設のタイミングも噛み合い低コストでの生産を可能としています。
三菱ケミカルは水族館の水槽の素材であるMMAで世界シェア1位です。世界で唯一三種類の主原料を利用できる製造技術を保有しており優位性を持っています。
東レは今後も成長が期待できる炭素繊維があります。また、UNIQLOのヒートテック・エアリズム・ウルトラライトダウンといった主要製品の製作を行いその取引額は繊維事業の25%にも及びます。
このように化学・繊維素材業界は一部重複する部分があっても各々の得意分野で収益を上げています。自動車メーカーのように同じ商品群で競争している業界とは異なります。

しかし、値段によって単純比較できる製品もあります。汎用化学品と呼ばれるエタノール、ポリエステル、アンモニアなどの製品の原料として大量生産される化学品です。
汎用化学品は製造難度の低さと差別化の難しさから価格競争が発生し、現在では収益性の低い商品群となりました。
そのため売り上げ比率の大部分を汎用化学品が占める企業の場合は今後の収益性、成長性に疑問が残ります。

また、繊維素材業界でも汎用製品は価格競争に晒されています。ポリエステルやレイヨンといった衣料繊維に関しては差別化が難しく、価格競争の結果収益性に影響を与えています。
そのため炭素繊維やアルミナ繊維、ブレーキ材などのように機能性を付加した高機能素材を開発し産業向け繊維を中心とした収益構造へと徐々にシフトし始めています。
現状、衣料繊維に過剰に依存している企業は今後の収益性、成長性に疑問が残ります。

比較的景気変動を受けにくい化学・繊維素材業界

BtoB素材メーカーは比較的景気変動の影響を受けにくいです。というのも素材は顧客が製品の製造を続ける限り安定的に注文されます。また、一つの素材で複数企業に対して販売できるのでリスク分散が出来ます。
最終製品メーカーの場合はブランドイメージの悪化で売り上げが半減することもあります。しかし、素材の場合はそうした大胆な変動は起きにくいです。なので潰れにくい業種です。
住友化学が強みを持っている農薬などは食に関連するので需要が特に変動しにくい商品です。
反対に、難しいのは今まで採用されていなかった製品に新規採用されることです。既存取引先から乗り換えることを決断させるだけのセールスポイントを提示しなくてはいけないのでハードルが高くなります。

景気変動の影響は受けにくいですが、原油価格の影響は非常に受けやすいです。原油安の場合は仕入れコストが安くなるので業績が好調になり、原油高の場合は仕入れコストが高騰するので業績が悪化します。
教育や医療、公務員、インフラといった特に景気変動を受けにくい業界と比べると安定感はやや欠けると思います。
もっとも景気変動の影響を受けやすいのは設備投資の対象になる装置産業や車、家といった高級品に関連する産業です。工作機械業界は受注額が景気指標として扱われるほどの景気敏感業界です。

素材メーカーのいい点は数年・十数年での倒産リスクが低いことです。
IT業界や電子部品業界と比較すると技術進歩のスピードが遅いことや、一回の受注量の多いので設備投資のハードルも高くある程度の規模感のある企業が有利になります。

機電系にとってコスパのいい化学・繊維素材業界

まず、化学・繊維素材業界にどういった専門性を持つ学生が応募するかというと基本的に化学系出身の学生の割合が多いです。
彼らは研究開発を志望する傾向にあります。機械系の学生が設計をしたいと考えるのと同じですね。
大学で学んだ内容に近しいものの方がイメージしやすいのでみんなそう考えますよね。

しかし、実際に商品が世に出るには

①市場のニーズに合わせた商品を研究・開発
②大量生産できる生産環境を構築
③安定した生産
④時代に合わせた設備更新や改修

が必要になります。
①②に化学系専攻の研究・開発職が主に関わり、②③④に機電系専攻の製造職や生産技術職が関わります。
これは食品メーカーだろうが香料メーカーであろうが化粧品メーカーであろうが関係なく製造の段階では機電系の知識が必要になってきます。

しかし、機電系の学生がまず行きたいと思うのは自動車・電機・航空機・工作機械などのいかにも機械っぽい業界です。その中でも生産技術よりも設計や研究・開発をやりたいと思います。
つまり機械に関連しない業界には機電系の志望者自体が少ないので低い競争率で優良企業に就職できるかもしれない穴場スポットなのです。
生産技術職や製造職になるので現場と近くなることをどう捉えるかにもよりますね。一般に現場に近い職の方が出世が早い、らしいです。

炭素繊維市場は意外と小さいが拡大していく

昔から注目されていた炭素繊維ですが近年は研究が進み今までのゴルフシャフトや釣り竿といった安全性の要求が低い品目だけでなく航空機や自動車でも採用されています。
既存の金属材料から軽量化のために炭素繊維材料へと置き換えが進んでいます。現在では機体の50%を炭素繊維複合材料で構成されている航空機も存在します。
こうした技術発展に関するニュースを聞く機会が多いので炭素繊維の市場規模はかなりのものがあると思っていました。
しかし、世界トップシェアの東レでも炭素繊維事業の売る上げは2016年度実績で1600億円でした。東レの総売り上げが2兆円であることを考えると東レの中では1割にも満たない売り上げしかありません。

世界シェア2位の三菱ケミカルも500億円、3位の帝人も400億円と各社の売り上げ規模からするとインパクトは大きくありません。
どのメーカーでも売り上げの割合は一割にも満たないです。素材の知名度に反して市場はまだ限定的です。
つまり、炭素繊維の研究をしたい!という方は多いと思いますがその代用枠は限定された狭き門だということです。
なので就活生は炭素繊維に拘りすぎると「また炭素繊維か……そんなに採用しないのになぁ」と面接官にとっては悪印象かもしれません。

炭素繊維市場は現在はあまり大きくはないですが、2030年までには市場規模は3倍にもなるだろうと予測されています。
各市場の規模の違いもあって、現在の売り上げの中心である航空機産業よりも自動車産業での売り上げの伸びが著しいと予測されています。
今後の成長が期待されている分野だけに新規参入企業も多いと予測されます。しかし、航空機産業や自動車産業では十分な安全品質が要求されるので急激なシェアの低下にはつながりにくいはずです。
炭素繊維といった素材だけでなく成型技術や焼結技術といった加工技術の使い方で企業の明暗が分かれるかもしれません。

化学・繊維素材業界はすごい高年収でもない

化学・繊維素材業界というかメーカー自体があまり高年収ではないですね。
お金が欲しいのならば外資系コンサルや広告といった文系就職をオススメします。
お金が欲しいけどメーカーが絶対にいい!というなら自動車メーカーに行きましょう。待遇面ではメーカートップ業界と言っていいと思います。
日揮やIHI、千代田化工建設といったプラントエンジニアリング企業も高年収な傾向があります。

繊維素材業界売り上げ1位の東レは700万円程度の平均年収です。帝人のほうが年収はいいですね。
化学業界も売り上げ1位の三菱ケミカルで700万円程度の平均年収です。(三菱化学時代の平均年収参照)業界トップの割には高くないです。
好待遇なのは富士フィルム・旭化成・AGCあたりでしょうか?三菱系は全体的に低賃金で有名ですよね。
事業規模や売り上げの大小と年収が直接的に結びつかないのはよく理解して就職活動を行ってみてください。
ホールディングスの平均年収は実質的に管理職年収なのであてにしてはいけませんよ。

機電系の方は生産技術職が多いと思いますが、万が一トラブルで設備が停止した場合は休日出勤をしてでもトラブル対応をするので少し大変かもしれません。
これは業界関係なく生産技術職で働く場合についてくる問題です。生産技術職がイヤなら修士卒で設計・研究開発職に就きましょう。
理系で学部就職自体が既に少数派なのでとりあえず大学院進学をオススメします。文系就職狙いなら学部卒で十分です。

化学・繊維材料メーカーはホワイトなのか

これについてはあまり情報がないので分かりません!
どのメーカーも「残業代はきっちり払ってます」と念押ししてましたね。基本給も悪くないので少なくともブラックではないと思います。
転職サイトの口コミなどを見ても残業が多すぎるといった意見は見た記憶はないですね。忙しさは部署によるという意見が多いです。

私も化学メーカーの生産技術職で働く予定なので自分の雑感や他社の話などを聞けたら伝えていこうと思います。
どんな企業に就職しても繁忙期はあると思うので残業しがちな時期はあるんじゃないかと思います。

以上、19年卒就活生が語る化学・繊維素材業界でした。

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